アウトリーチ・プログラム

出前授業(5)

つじ農園で開催してきた全5回シリーズの出前授業が終了しました。最終回の講義もビニルハウスに特設した「教室」が舞台でした。この日、強風で非常に寒かったのですが、室内ではジャケットを脱いでも良いくらいの暖かさでした。最終講義では、つじ農園が新しく作付予定の水稲品種について、その生理・生態学的特性を収量構成要素の点から解説し、その講義内容を基に新品種の作付け計画を作成して貰いました。

導入予定の新品種はコシヒカリなどの従来品種と比較して明らかに生理・生態学的特性が異なります。生育期間の長い晩生品種と紹介されていますが、従来の常識とは異なる性質で晩生になっています。その特性の理解には収量構成要素の理解が必須です。

最近の水稲栽培では「基肥一発」と称して、田植え時に全ての肥料を与える施肥法が主流です。この時に使用される肥料は、尿素などの肥料成分が特殊素材でコーティングされた緩効性肥料と呼ばれるものです。コーティング程度を変化させることで肥料が溶出してくる時期を変化させることができます。

コーティング程度の異なる緩効性肥料を様々な比率で配合し、「狙った」時期に「狙った」量の肥料が溶出してくるように設計された肥料が、様々な品種や栽培体系に向けて販売されています。「何を狙うのか?」と言えば、まさに収量構成要素が形成される時期とその構成要素の発達促進を「狙い」ます。したがって、肥料選びにも収量構成要素の理解が必須です。全5回シリーズの大半を収量構成要素の理解に費やしてきましたが、今回の最終講義で、その重要性をよく理解して頂いたと感じています。

何はともあれ、こんな開放的な環境で知識に飢えた大人を相手に講義できるというのは何物にも代えがたい幸せな時間です。これからもアウトリーチ・プログラムを充実させていきたいと思います。

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