講座合同ゼミ(10)

三重大学生物資源学部は4学科(農学系、理工学系、化学系、水産系)約75研究室で構成されています。 私は、 地方の中規模大学にこれ程までの多様な研究室が揃っていることが、三重大学生物資源の特徴であり、強みだと思っています。ただ残念なことに、自分の研究室と同じ階ですら、どんな研究室がありそれらが何を研究しているのかよく把握していない場合が多く、多様性の強みが全く発揮されていないのが現状です。そこで後期の合同ゼミからは、「文理融合を超える異分野融合の可能性」を追求すべく、様々な研究室の教員をお呼びしてお話頂きます。昨日は、以下の3先生の講演でした。

「菌類の多様性探索と生物資源としての可能性( 白水先生、植物医科学) 」

次世代シーケンサーによる環境DNA計測がリンネ以来の種の概念を変える可能性があること。その結果、生物資源としての菌類探索が、生物ハンターのような手当たり次第に菌を培養する方法から、遺伝的に機能解析に基づいて種を選抜した後で培養に着手するという方法へ変化していく可能性があることをお話頂きました。

「農業水利施設の現状と水路の粗さ計測 (岡島先生、環境施設工学) 」

我国の農業用水路においては、 耐久年数に到達した時点で新しく交換するのが維持管理の基本的な考え方でした。しかし法律上、 水路 は生産者の財産であり、農業従事者人口が急速に減少する中で、少数の担い手が長大な水路の交換費用を負担できない状況が発生しています。その結果、一部補修工事による維持管理という考え方が出てきたわけですが、そもそも水路の消耗度を目視に頼っている状況で、補修工事の予算計上に合理的な根拠を与えられない問題が発生しているそうです。そこで、消耗度の計測に関する方法論の確立から計測機器の開発までの一連の研究内容をご紹介いただきました。

「IoTプロトタイピング・キットを利用したハウス等の温度遠隔監視システムの開発と実用性の解明( 野中先生、循環経営社会学) 」

現在、我国の成長戦略においても農業ICTあるいはスマート農業が大々的に謳われ、大企業からベンチャー企業まで多くのプレーヤーが市場に参入しています。ある程度の競争が働き、各機器の価格が 徐々に下がっているものの、いまだ高価であるという印象は否めません。また多くのセンサーが搭載され、様々な環境変数が計測されるのですが、それらの変数が一体何を意味するのかを理解するまでに相当な時間が掛かるという問題もあります。そこで、施設園芸などの現場において少数の項目をスマホでモニタリングするという単純な機能を、キットを使って自作する方法をご紹介いただきました。

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