NERICA栽培成績

2010/2011年作期終了後,NERICAの栽培成績について報告するワークショップを開催した.県農業畜産担当官(District Agricultural and Livestock Development Officer: DALDO)と普及員(Village Agricultural Extension Officer: VAEO)が各県のNERICA栽培成績を発表した.

本作期では,全国510農家(137KFs+373IFs)が展示圃場を設置した.全農家の平均収量は1.04 t/haで,国の陸稲平均収量(~0.5 t/ha)の2倍であった.これは,NERICAが農家圃場レベルでも高収性を発揮したことを示している.全参加県の中では,Muhezaが最高平均収量2.88 t/haを達成した.また,Morogoro,Bagamoyo,Ulangaの平均収量が比較的高く,それぞれ1.61,1.54,1.21 t/haであった.いずれの県も無施肥で高収量を達成したのは驚くべきことである.

それに対して,Lindi,Nachingwea,Bukombeの平均収量は低く,それぞれ0.68,0.33,0.20 t/haであった.さらに,Maketeでは収穫が皆無となってしまった.各県とも,生育終期の水不足を低収の原因に挙げている.これら4県では,10月に実施予定であったNERICA研修コースが様々な要因により12~2月まで延期されたため,展示圃場での播種時期が雨期の真っ只中(1~3月)にずれ込んでしまった.その結果,登熟期間中に雨期が終了し,収量が大きく低下したらしい.仮に研修が計画通りに実施されていれば,もっと高い収量を達成できたであろう.これは,本作期に経験した最大の教訓である.ちなみに,これら4県を除いて再計算すると,平均収量は1.04 t/haから1.67 t/haまで上昇する.

中核農家の平均収量(1.23 t/ha)は中間農家(0.97t/ha)よりも高かった.中核農家は研修コースで体系的に栽培技術を習得したのに対して, 中間農家は中核農家から栽培技術を教わった.したがって,この結果は,技術普及における研修の重要性を示唆している.また,点播の平均収量(0.83 t/ha)は条播(0.54 t/ha)よりも高かった.作業性の点で農家は条播よりも点播を好んだと多くの県が報告した.したがって,次回のNERICA研修コースでは,点播を推奨技術とするべきだろう.