Nachingwea

2009年5月21日

Naliendele農業試験場の実施するNERICA農家圃場試験を視察した.例年にない降水不足のため、Nachingweaの植物はほぼ全滅した(第1図).畑状態のNaliendele村では4農家のうち1農家(Mr. Rashid)の圃場で辛うじてデータ収集できる程度の植物生育を確保したものの、その他の3農家(Ms. Kasuga、Ms. Kalanje、Ms. Kabanza)ではデータ収集が不可能なほどに植物生育が阻害された(第2図)。ただ、天水田のKinyope村ではデータ収集が可能な程度の植物生育を確保した(第3図)。

<農家栽培品種と品種に対する農家の印象>

Mr. Rashid(Naliendele村):Upland

Ngwindimba:陸稲品種

当地で登熟する唯一の早生品種

生育期間はNERICAとほぼ同じ

食味はSUPAに劣る

Ms. Kasuga(Naliendele村):Upland

Ms. Kabanza(Naliendele村):Upland

Ngwindimba:陸稲品種

Naliendele村では殆どの農家が当品種のみを栽培

Ms. Kalanje(Naliendele村):Upland

Ngwindimba:陸稲品種

Mr. Buriani(Kinyope村):Rain-fed lowland、Irrigated lowland

TXD220

SUPA

TXD306:香り(aroma)高く良食味だが、難脱粒性で仲買人が避けるため自家消費のみ

Mr. Choaji(Naipingo村):Rain-fed lowland

SUPA:良食味

Ngwindimba:SUPAの種が不足しているため仕方なく栽培

Tuungane Farmers’Group 16人(Mkatapore村):Rain-fed lowland

SUPA 

Ngwindimba 

両品種以外に種がないため

Mr. BurianiはKyelaで人気の高いRangimbiliの栽培経験を持つが、現在は全く栽培していない。RangimbiliはTXD306よりも良食味であるが、低収量性のために栽培をやめたそうだ。Kyela出張に関する報告で記述したとおり、Kyelaの稲作農家は最良食味のMwasungoを栽培せず市場が求めるKilombero、Rangimbili、Zambiaを栽培している。また、Naliendele村、Naipingo村、Mkatapore村は入手可能な品種のみを栽培している。これまでに、多くの研究員が「農家は収量性よりも食味を最優先する」と発言してきたが、それはあくまでも研究員として自らの研究内容を正当化するための発言であって、実はあまり根拠がないのではなかろうか?

また、Mr. Burianiよれば、NERICA1は彼が食味の点で最高ランクを付けているRangimbiliよりも良食味らしい。さらに、NERICAは乾燥耐性があるという印象を持ったそうだ。また、水田でNERICA栽培を試したところ、全滅したそうだ。やはり、過湿状態でのNERICA栽培には注意が必要かも知れない。

<干魃>

MtwaraおよびLindiでは例年とは比較にならないほどの極端な降水不足に見舞われ、低湿地帯のような比較的土壌含水量の高い場所を除くと、ほとんどの作物が乾燥ストレスで生育が阻害されていた。昨年の雨期も降水不足で不作に見舞われた上に今年の雨期もこの調子では、確実に食糧不足が発生するだろう。Nachingwea District Agricultural and Livestock Officer (DALDO) を訪れ日には、既に800tの援助食糧がOfficeに運び込まれる予定になっていた。

2010年10月26日

Nachingwea県庁を訪問した.District Executive Directro(DED)、District Agricultural and Livestock Officer(DALDO)に面会。農業省発出のNERICA研修紹介レター、NERICA研修概要書、予算書を手渡した。両氏とも、タンライスが主催した関係者ワークショップに出席しており、タンライスの活動および実績について好印象を持っているようだ。NERICA研修について概説すると、大変大きく興味を抱いたようで、経費の全額負担についても確約を得ることができた。