Korogwe

2009年3月24日

Korogwe県の一帯では、3月2日に1時間ほどの降水があり、多くの農家が雨期開始を予測して天水田にイネを播種した。ところが、私たちが訪問した3月22日、23日まで全く降水がなく、多くの圃場でイネがほぼ全滅の状態であった。

2009年7月9日

Dakawa農業試験場の実施するNERICA栽培試験を視察した.その際に栽培品種について尋ねた.

【農家栽培品種】

Mr. Shekaoneka

SUPA

Wahi wahi

Bora kupata

Ms. Kidunde

Wahi wahi:早生

Mropa:良食味

IR54:水田用

Mr. Goda

Wahi wahi

Mropa

TXD306

2010年10月21日~22日

<Korogwe県庁>

District Executive Director(DED)、District Agricultural and Livestock Development Officer(DALDO)、Crop Officerに面会。農業省発出のNERICA研修紹介レター、NERICA研修概要書、予算書を手渡した。当県は、Kilimanjaro Agricultural Training Centre(KATC)がMombo灌漑地区で実施した農民研修を成功事例と捉え、その後も様々な農民研修をKATCに依頼してきた。そうした背景から、KATCが実施するNERICA研修にも非常に前向きな姿勢を示していた。研修経費については多少の意見交換がなされたものの、DEDが選挙絡みの緊急事案に対応している最中で十分な時間を取れず、県の負担分まで議論を深めることはできなかった。

2011年6月27日

Korogwe県のNERICA農家圃場を視察した.Korogwe県の農家は,研修実施前に訪問したどの県の農家よりも研修参加に強い意欲を示していた.しかし,県庁の予算不足で研修は実施されなかった.そこで,山口大学荒木助教(現准教授)とKorogwe県を訪問した際,16農家に種子と栽培ガイドを配布した.普及員によると,各農家が3農家に種子を配布し,全64農家(16農家+48農家)がNERICAを栽培した.今回は,その内の5農家圃場を視察することができた.
どの農家圃場でも栽培ガイドに従って直線植えされていた.当初,栽培ガイドを無視して散播すると予想していたので,非常に驚いた.Korogwe県では,ここ数年干魃が続いていたが,今期はある程度の降雨があった.元々,土壌が肥沃で,多くの農家が無施肥で作物を生産している.充分な降雨と肥沃な土壌を活かし,無施肥で栽培されたNERICAも2~4t/ha収量を達成していた.Korogwe県の多くの農家は,少ない降雨を最大限に活用するため,早生・水稲品種のWahiwahiを栽培している.しかし,水稲品種を畑で栽培しているため,Wahiwahiは明らかに水不足でNERICAよりも収量が劣っていた.どの農家もNERICAの能力をWahiwahiと比較して高く評価していた.
農家圃場を視察後,DALDOと面会した.DALDOもNERICAの能力を高く評価し,何とか農家を研修に参加させたいと意気込んでいた.ただ,県が全研修経費を負担するのは難しいため,KATC教官が現地研修を実施する可能性について打診を受けた.TANRICEのスキームとしてNERICA栽培を現地研修する予定はないが,県とKATCの交渉次第では,KATCが独自に現地研修を実施する可能はあり得ると返答しておいた.DALDOは,今年度末の余剰予算を活用する方向で検討するらしい.これが実現すれば,NERICA普及も面白い方向に進んでいくかも知れない.

<Gereza村>

Gereza村は、Dakawa農業試験場がNERICA栽培試験を実施した村である。DALDOは、NERICA栽培経験のある村を含めることで研修効果を高められると判断したらしい。Mr. Shayo、DALDO、普及員の間で事前連絡が行き届いていたため、村に到着した時点で既に20名近い農家が集合し、会合が始まると次第に人数が増え、農家総数は約100人、子供も含めると150人程に膨れあがっていた。Mr. ShayoがNERICA研修について一通り解説すると、農家から多くの質問や意見が寄せられた。「中核農家数を増やして欲しい」「配布種子が中核農家あたり20kgは少なすぎる」、「KATCが種子を販売するならば購入したい」、「中間農家の選定を中核農家に任せるのではなく、村議会に一任すれば選出された農家の責任感が出るはずだ」等の意見は研修に対する積極な姿勢を伺わせた。また、栽培試験に参加した農家から「NERICAはよくない」という意見が出たため、「試験年は未曾有の大干ばつに見舞われ、NERICAに限らず他の作物も大打撃を受けたこと」、「通年通りの降水量であれば必ず高い生産性を発揮すること」、「在来品種よりも短期間で生育できるためタンザニアの短い雨期でも十分に生育できること」を写真で解説した。「Gereza」とは、スワヒリ語で「監獄」を意味するらしく、Mr. Shayoが「NERICAでGereza(監獄)から抜けだそう!!」と連呼すると、農家も「そうだNERICAでGereza(監獄)生活から抜けるぞ!!」と合唱する盛り上がりを見せていた。その興奮のせいか、この場で中核農家を選出するという話まで飛び出し、2つのSub-village(MagilagereaとKiloza)から候補者を4人ずつ(合計8人)選出するに到った。後日、村議会の投票で4人に絞り込むそうだ。

<農家1>


Gereza村の天水畑地.降水量が多いときには冠水し天水田のように見える.幹線道路に平行する線路のすぐ脇に位置する.NERICA1は良好に生育していた.

<農家2>

Gereza村の天水畑地.幹線道路を挟んで農家1とは逆側の緩やかな山の斜面に位置する.周囲をトウモロコシに囲まれた圃場は,これぞ陸稲という光景.NERICA1は非常に良く生育し,上手くいけば5t/ha収量に到達するかも知れない.陸稲がこれだけの高生産性を達成する姿は圧巻!!

<農家3>

Kiloza村の天水畑地(天水田?).NERICA1は良好に生育していた.播種直後,圃場の一部が冠水し,そこに生育する植物体の生育は阻害されていた.

<農家4>

Kiloza村の天水畑地.周囲をトウモロコシに囲まれた圃場は,これぞ陸稲という光景.トウモロコシとNERICA1の境界をキマメで区切っていた.深耕した土壌で生育するNERICA1は良好に生育していたが,浅耕した土壌では生育が阻害されていた.耕起作業を始めて間もなく本格的な雨期が始まり,その降水を上手く活用して苗立ちさせようと考え,作業を早めるために圃場の一部を浅耕したそうだ.深根性マメ科作物のキマメは土壌を耕起する効果と窒素供給効果が期待できるため,キマメの後作でNERICA1を栽培することを勧めておいた.

隣接圃場で枯死寸前のWahi wahiと不耕起栽培のNERICA1