6月28日(土)昼から自転車で外出。とある用事で町へ向かった。昨晩のイベントで着た伝統布「ケンテ」のシャツのまま出かけたのだが、これが間違いだった。
普段より人に見られている気がする。そんな違和感が確信に変わったのは印刷屋に着いてから。店内にはプラスチック製のイスに腰掛け、印刷順を待つ2名の男性。入店後しばらくは私をちらちらと見ていたが、店員との会話で私に英語が通じるとわかった途端、痺れを切らした1人が突然話しかけてきた。「やあ、いいシャツだね、チーフやクイーンみたいだ」。
彼曰く、この伝統的な模様は高貴なものでガーナ人でもあまり普段着には使わないらしい。そして私にとって最大の問題は「着ているだけで権力者と勘違いされる」という点。ガーナの農村では、ただでさえ外国人=金持ちという印象を持たれがちなのだ。加えてこの伝統布。さらに今日はスポーティーなヘルメットとマウンテンバイクで移動している。側から見ればただの目立ちたがり屋のブレフォノ(白人)である。村人からの視線が熱くなるのも無理はない。記念写真を撮り早々にその場を後にした。もちろん帰り道もケンテシャツ効果で色んな人に呼び止められ、その度に友人が増えた。
ここまでして印刷屋に足を運んだのは他でもない。今日は近所の子供達に約束の写真をプレゼントしようと決めていたのだ。最初に見かけた1人に写真を手渡すと、写真を見るために他の子も次々と外へ出てきた。誰がどの写真をもらうか真剣に話し合っていた。喜んでもらえて何より。帰り際には新しい手紙と絵を見せてくれた。
たった一枚のシャツがたくさんの出会いをもたらした1日。服1枚で友達が10人増える経験は日本にいたら味わえなかったはず。彼らのあまりに友好的な国民性は、帰国後の私にガーナの恋しさを強く感じさせるだろう。



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