論文が掲載されます(2)

JICA技術協力専門家時代の活動が「Importance of basic cultivation techniques to increase irrigated rice yields in Tanzania」としてPaddy and Water Environmentに掲載されます。タンザニアの水稲を増収させるためには,何はともあれ基本技術の実践が重要であることを示した内容です。

通称TANRICEプロジェクトでは,全国44カ所の灌漑地区20,000haにおいて水稲栽培技術を改善するために稲作農家を支援しました。論文ではデータの揃った31ヵ所の灌漑地区12,000haでの結果について報告しています。まずは,各地区において畦畔造成,均平化,代掻き,育苗,条移植・・・・などの基本技術の実践度が非常に低いことを確かめました。次に,各地区の中核農家に対して集中的に基本技術を研修させ,中核農家が周辺農家へ技術を伝達する農家間普及手法を通じて技術を普及させました。その結果,研修前の全国平均籾収量2.4t/haが研修後に3.6t/haへ増収しました。研修後に二期作を実践できるようになった地区もあり,そういった地区では年間生産量が劇的に増加しました。ただし,農家間普及では灌漑地区全体に技術が普及せず,依然として3.6t/haという低い水準に留まっていると考察しています。

現在,後継案件のTANRICE-2プロジェクトが進行中で,引き続き灌漑地区への技術普及に取り組んでいます。さらに,タンザニアの稲作面積のうち70%以上を占めると言われる天水田稲作へも支援を拡大しています。私は,山口大学の荒木先生,坂口先生,柳先生,東京農工大学の桂先生と一緒にTAN-J-RICEという研究グループを結成し,TANRICE-2に対して研究面から支援しています。

論文の審査過程で査読者に指摘された事項は対処が非常に難しかったのですが,同僚の中島先生(生物資源経済学)との議論を経て大きく前進することができました。この場を借りて感謝申し上げます。

 

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